渋沢栄一の「論語と算盤」を読みました。旧字体もあり難しく感じましたが、今の日本社会に必要なものが凝縮されているように思いました。
渋沢栄一は「論語と算盤」の中で、論語を理解していた偉人として、徳川家康と菅原道真の名前を挙げていました。徳川家康のものと言われる遺訓では、
人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。不自由が当然だと思えば、不満は生まれない。心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。我慢することが無事に長く安らかでいられる基礎で、「怒り」は敵と思え。勝つことばかりで負けることを知らないと、危険が自分の身に降りかかってくる。自分の行動について反省し、人を責めてはいけない。不足のほうが、やり過ぎるより良いのである。
とあります。これも論語の寄せ集めであり、乱世を収めるのに論語の考え方が寄与したと評価し、徳川家康を尊敬しています。また、菅原道真についても和魂漢才という言葉の通り、大和魂とともに中国の教えを理解していた人物として評価しています。
「論語と算盤」のタイトルについて、論語は道徳を意味し、算盤は商人が持っていたもので経済を意味します。道徳ではお金儲けは卑しいものと考えられており、道徳と経済は相反するものと捉えられていました。渋沢栄一は道徳と経済は相反するものでなく、並存できるものとして道徳経済合一説を唱えました。タイトルでは、この意味を強調しています。
渋沢栄一を知るきっかけとして、漫画版「論語と算盤」もオススメです。
山県有朋の亡霊が出てきてやり取りするのは面白く感じました。山県有朋の成功は社会にとって望ましいものとはいえず、「道徳」が備わっていなければならない。私は「論語」から道徳を学んだというのが印象的でした。道徳について学校教育で理解しながら学べることは少なく、論語の考え方というのも勉強になると感じました。
若き渋沢栄一がパリを視察し、株式会社や銀行の仕組みを学び日本社会に導入した行動力はすごいと思いました。こんな人物が日本にいたのですね。新一万円札を見るのが楽しみです。
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